LOVE30 [観劇]
3人の新進気鋭作家による男と女、30分のラブストーリーが3本。
朝日放送のドラマ「女と男と物語」を基に企画された作品だそうで演出は宮田慶子。
そういえば何本か見た記憶があります。
【ワンシチュエーションで30分の男女2人芝居、
3話オムニバス形式、
今後の活躍が期待される若手作家の書き下ろし、
異性を意識した感情の絡んだストーリー ~パルコ劇場のサイトより~ 】
『スパイス・イン・ザ・バスケット』
作:三島ゆき 出演:水野美紀 山寺宏一
離婚して3年たつ元妻(水野)が再婚相手から請求された離婚の慰謝料を借りに元夫
(山寺)の家にころがりこんでくる。 元夫の新しい生活にずけずけと踏み込んできてや
りたい放題にふるまう水野。
山寺が大切にしまいこんでいたスパイスバスケットを見つける水野。
美術教師である彼はそこにあったあざやかなスパイスに元妻の思い出を重ねると同時
に初めて心底から創作意欲をかきたてられ、妻を失った心の空洞を埋めて立ち直ろうと
していた。
スパイスはそれひとつだけでは香りやクセが強かったりするが、料理にうまく使うことで
すばらしい効果を引き出すことができる。
自分達の関係もそうであったのだと語る山寺の前で水野も見失っていた何かに気づき、
新しい暮らしへと踏み出して行く。
一緒にいても一人だと感じることもあれば、一緒にいなくても相手のことを感じることも
ある。
***
出演者は嫌いじゃないんですけれど。
『結婚相談所』
作:サタケミキオ 出演:真中瞳 片桐仁(ラーメンズ)
高校時代の初恋をひきずっている結婚相談所のカウンセラー真中の前に現れた会員は
何と初恋の先輩の片桐。しかし彼は高校時代とは似ても似つかぬさえない男になって
いた。紹介されて初めてのデートはハチ公前で待ち合わせてマックへ行き、観た映画は
「釣りバカ日誌」
彼の行動を激しく責めつつも気になってしかたがない真中。
担当者に恋をしてはいけないという決まりがあるため、悩む心のうちを真中は電話相談室
に電話をして打ち明ける。電話の相手が片桐であることを真中は知らず、片桐もまた真中
であることに気づかない。
電話を通してお互いにエールを送り、相手のことを思いやって励ましあう二人。
とんちんかんな勘違いがつづくのがとってもほほえましくておかしい。
(片桐の雰囲気に負うところが大きいのかも)でも彼らの恋のベクトルは常に一方向を向い
ていて決して出会うことはない。
片桐がこだわったハチ公デートの理由が明らかになった時、変わってしまったのは自分な
のだと真中は気づく。
***
ハッピーエンドを予感させつつも裏切ってみせたラストに余韻を感じて、この終わり方は
なかなかいい。好きです。
それにしても片桐仁はこの役にぴったりだと思います。
『兄への伝言』
作:蓬莱竜太 出演:YOU 生瀬勝久
弟のお通夜に東京から駆けつけた兄と弟の妻。幼馴染でもある二人は祭壇の前で
昔のことを語り合う。 生瀬はYOUのことが好きだったのに彼女は弟と結婚してしまい、
傷心の彼は東京に出たままずいぶん長く帰郷していなかった。
弟への香典の額をいくらにすればよいのか、YOUに尋ねる生瀬。それに答えるYOUの
指先。このあたりの間がよくて笑いが起きる。生瀬の本領発揮というところ。
弟が病床でYOUに託した頑丈に封印された生瀬宛のメモ。
「とんかつ取り替えた」
ここからの展開がおもしろい。
人に決められた人生だったのか、あるいは自分が決めた人生だったのか。
記憶をたぐりよせてはっきりした時のYOUの変化がなかなかによい。
女はやっぱり強くたくましく、優柔不断なまま置き去りにされる生瀬との対比がおもしろい。
***
たかがとんかつ、されど。
人の運命なんて案外こんなところで決まっているのかもしれないです。
主体的に選び取ったと自分で思うことができればそれでよし。
年齢的に近いせいかこの作品に最も共感を覚えました。
パルコの前はもうクリスマスのイルミネーションがキラキラしていました。
街のキラキラが年々早くなっているような気がします。
7、8、10、11月と毎月のようにパルコ劇場に来ていることに今更ながら気がつく私。
12月も2本観る予定なので、今年は7回も・・・ゲゲッ(゜o゜)
コクーンについで多く通った劇場になりました。