暑い時こそ [甘味処]
ひと月前のものすごく暑い日、神田明神前の「天野屋」さんに行きました。
湯島聖堂までは何度か来たことがあったのですが天野屋さんは初めてです。
住所は外神田ですがお茶の水駅から歩いてもすぐ。
こんなに近いなんて今まで知りませんでした。
こちらは甘酒で有名なお店です。
「かうぢ」の看板からもるように地下にある室(むろ)で糀(米こうじ)を発酵・熟成させて
甘酒を作っておられます。
併設の喫茶部で甘酒以外の甘味も食べることができ、この季節には氷の文字が涼やかです。
時代を感じさせる店内にはクーラーがありません。
風鈴、金魚鉢、うちわなどで涼をとるのですが開け放たれた店内には風が通り抜け、
中庭には打ち水。我慢できないほどの暑さではありません。
かえって自然な風が心地よいくらい。
私のお目当ては「氷甘酒」(写真上左)
冷たい甘酒の上にかき氷が乗っています。
私はつい最近まで甘酒は冬の飲み物だと思いこんでいました。
しかも過去に飲んだことのある甘酒はベタッとした変な甘さとアルコール臭があってどうにも好きに
なれないもののひとつでした。
ところが天野屋さんの甘酒にはアルコールは入っていないしお砂糖も加えていないのだそうです。
糀が米のデンプンを糖化させ甘みとなるのです。
甘酒はアミノ酸やビタミンが多く含まれるので江戸時代には夏バテに効く飲み物として重宝され、
俳句では夏の季語そされているのだそうです。
先人の知恵はすばらしい。
そしてこの氷甘酒、運ばれてきた瞬間からあっというまに氷が溶けてゆくのです!
恐る恐る口にした冷たい甘酒はすっきりとした甘さですっとのどを通っていきました。
甘酒がこんなにおいしいものだったなんて。
無言でひたすらスプーンを動かし続け、器が空になった時には汗はすっかりひいていました。