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南国プールの熱い砂 [観劇]


  

こどもの城 + ネルケプランニング プロデュース
     『南国プールの熱い砂』

作・演出:桑原裕子
出演:渋谷琴乃 小橋めぐみ 伊達暁 笹峯あい 小手伸也 宮下今日子 平沼紀久
    原扶貴子 成清正紀 川久保拓司 横山真二 吉田晋一 桑原裕子

2006年7月26日(水)~8月6日(日)  青山円形劇場



7時半開演と少々変則。伊達暁と吉田晋一の他は初めて観る役者さんばかり。
舞台は中央の円形部分に丸いプールと砂場、一段高い壁際にデッキチェア。
開演前から舞台上ではホテルのスタッフ役の川久保拓司が本日のプールの水温などを
マイクを通してアナウンス。 冬馬役の横山真二がプールサイドに寝そべったり雑誌を
眺めたり何やら落ち着かない様子でうろうろしている。
そして「Close to You」のメロディとともに幕が開く…

恩師の死をきっかけにかつて小学校の移動教室で訪れた海辺のリゾートホテルへの
同窓会旅行が企画され、集まったクラスメイトたち。
最初は15年の時間の流れからくるぎこちなさを感じながらも次第にかつての親密さを
とりもどしていく彼ら。

あの時は言えなかったこと、あの時は見えなかったこと、忘れまいと思ったのにいつの
間にか忘れてしまっていたこと、そしてあの時も今も変わらず抱いている想い…
大人になった今、それぞれがあの頃を思い出して心の中に眠っていたものを吐露し始め、
部外者のなりすましや身代わりなどの笑いもまじえつつ話が進む。

そして移動教室の夜の出来事、当時は誰も知らなかった秘密が明らかになる。

あの頃知らぬ間に傷つけていたこと、傷つけられたこと。
それは足下の焼けた砂のように今もチリチリとした痛みを伴って迫ってくる。
謝りたいこと。今言っておきたいこと。互いの思いが交錯し、時として激しい諍いになる。
15年前に思い描いていた自分とは少し違うけれど、それぞれがあの頃のまっすぐだった
自分を思い出し、そしてこれからはかつての仲間達と新たな関係を築いてゆけるかもし
れないと暗示させる。

彼らはこれからも数え切れない記憶を熱い砂の中に忘れて生きて行くのだろう。
でもそれらの記憶は決してなくなることはなく、折りにふれ何かの拍子にチクリと足を
刺すものなのかもしれない。

ラスト 向かい合った衣雲と仁美の間にさす一筋の光の中を上空からまっすぐに砂が
降ってくる。再び「Close to You」のメロディがそれに重なり暗転。

 

 

 

 

     * * * * * * * * * * * *

15年前の出来事に不自然さを感じてしまい、それが最後まで尾をひきました。
決して悪くはなかったんだけれど…


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