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ナイス・エイジ [観劇]


NYLON100℃ 29TH SESSION 『ナイス・エイジ』

作・演出:ケラリーノ・サンドロヴィッチ
出演:峯村リエ 大倉孝二 みのすけ 松永玲子 長田奈麻 新谷真弓 安澤千種
    廣川三憲 藤田秀世 喜安浩平 大山鎬則 吉増裕士 杉山 薫 植木夏十
    皆戸麻衣 柚木幹斗 
    佐藤誓 志賀廣太郎 原金太郎 坂田聡 池谷のぶえ 加藤啓 立石凉子 

2006年12月9日(土)~12月24日(日)
世田谷パブリックシアター

        


2000年の作品の再演です。
「タイムスリップ」がテーマなのでこれだけでなく、パンフにもいたるところに時計のモチーフ
が使われています。
 
ナイロンのチラシはいつも凝っているので好きなんですが今回も。

        
写真ではダッコちゃん、太陽の塔くらいしか見えませんが日めくりカレンダーや壁の落書き
積み上げられたガラクタの中にも時代を感じさせるものが満載です。ちなみに長田奈麻が
持っている週刊朝日の表紙にはアポロ11号の月面着陸の写真が使われています。

ナイロンは2003年の「ハルディンホテル」以降のものしか観ていないのでもちろん初演は未見。
たまたま少し前にスカパーで初演の舞台が放送されたのでそれを観てから臨みました。


        

以前はは裕福な暮らしをしていたが今は没落している廻(めぐり)一家の物語。
2000年の8月12日
おんぼろアパートに越してきた一家。ギャンブル狂いの夫、アル中の妻、フリーターの長男
など家庭は崩壊寸前の状態。引っ越してきたばかりだというのに、大家からこの部屋には
怪しげな現象が起きるのですぐに立ち退いて欲しいと頼まれる。
実はこの部屋の浴室は湯加減によって行き先が決まるタイムマシンで、大家の堺井夫妻
は時間移動者によって改ざんを加えられてしまった歴史を元に戻すタイムパトローラーなの
だった。堺井夫妻はあの手この手で説得を試みるが一家は出て行こうとはしない。
そうこうするうちにひょんなことから父親の時雄が1964年8月12日にタイムスリップしてしまう。

息子の時次がナンパして連れ帰った若い女性(葉子)は次女の春江に「会えてよかったです」
と異常な執着を見せる。実は彼女は未来からやってきた春江の娘だった。

時雄は1964年で17歳の自分と出会う。当時彼は駆け出しの芸人カンダタにネタの提供や
経済的な援助をしていたおぼっちゃま高校生だった。後に彼がカンダタの保障人になったこと
から廻家の没落が始まったのだ。
大家の堺井は彼らを連れ戻そうと追いかけてくるが、おマヌケな人柄が災いしてあと一歩という
ところでうまく行かない。
時雄はさらに1945年の8月12日へ。そこで彼は特攻出撃前夜の叔父と出会い、若い頃の
母と力を合わせて何とか叔父を助けようとするが失敗。

時次も1964年にやってきて、当時廻り家のお手伝いさんだった母と時雄の恋を応援する。

1985年8月12日は長女・想子が日航機事故で亡くなった命日であり、19歳の誕生日でも
あった。あの日出発前の姉に対してついた嘘のことをずっと後悔していた春江は1985年へと
タイムスリップし、姉を飛行機に乗せないために必至の工作をするが、結局姉は飛行機に乗って
しまい、助けることはできなかった。

母の澄代は一人だけ未来へと移動し、タイムスリップする前の葉子に出会う。そこでカンダタが
かなりの遺産を廻一家に遺してくれたことを知る。簡単便利に進化した時間移動装置を葉子から
借りた澄代は家族を連れ戻すためにさらに時間移動を続ける。

廻一家だけでなくタイムパトローラーの堺井妻も歴史の修復がうまく行かず自暴自棄になって
歴史改ざんのやりたい放題をして捕らえられてしまう。時空管理局の司令部は収拾がつかなく
なった世界を修正するために「プランB」の実行を決める。生きるために最低限の記憶だけを残し
それ以外の記憶をすべて消し去ってしまうとういものだった。

時間を越えた旅を終えて無事に2000年の我が家に戻った廻一家はほんの少しお互いを思い
やる兆しも見えたが、それもつかの間、少しずつすべての記憶があやふやになり始め、互いの
存在もわからなくなってゆく・・・

***
二幕で約3時間40分の長丁場だったが、さほど長さを感じませんでした。おもしろかった。
大倉孝二のクネクネ演技が見られたのがうれしかったし、初めて観る佐藤誓の廻時雄は初演
の小市慢太郎とはまた違ったけどよかったです。若い頃の澄代はやはり初演の村岡希美の
存在感の方が好きかな。
そして池谷のぶえが初演時よりもぐんとパワーアップ(!)していて光っていました。
休憩開始のアナウンスの「さぁ 休みなさい」が非常に楽しかった。

初演のSFチックな美術よりも今回のほうが落ち着いていてよいと感じました。盆の回転だけ
ではなく、前後の移動もうまく配されていてテンポがよかったです。

時間移動で過去を軌道修正しようとしても結局は思い通りになんか行かない。
今の毎日をナイス・エイジにできるように・・・気持ちだけでも持ち続けたいものです。

 

*****
11月から余裕がなくて「イヌの日」「エキストラ」「トーチソングトリロジー」は観たのに感想を
アップできないまま時間がたってしまいました。
今年はあと1本、大王作品を残すのみですが、これも観るだけで終わってしまうかも・・・


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