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ロープ [観劇]

        
        

NODA MAP 第12回公演 『ロープ』

作・演出:野田秀樹
キャスト:宮沢りえ(タマシイ) 藤原竜也(ノブナガ) 渡辺えり子(ディレクターの妻)
     橋本じゅん(カメレオン) 宇梶剛士(グレイト今川) 三宅弘城(AD)
     松村武(サラマンドラ) 中村まこと(入国管理官) 明星真由美(明美姫)
     明樂哲典(レスラー北) AKIRA(レスラー南) 野田秀樹(ディレクター)

2006年12月5日(火)~2007年1月31日(水)
Bunkamuraシアターコクーン

 

楽も近い今頃になってようやく「ロープ」を観てきました。

小さなプロレス事務所の二代目ノブナガとみらいから来たコロボックルだと言う女タマシイ。
彼女はずっとリングの下で暮らしていて、自らの務めは人間の行動を実況することだと言います。
ロープに囲まれたリング内は戦場であり、そこで行われる暴力は正しい暴力だと信じるノブナガ
やレフェリー、レスラー仲間。
リング内での暴力は次第にエスカレート、テレビ局も加わってもう後戻りはできない状態に。

ヘリコプターの爆音とともにリングは戦時下のベトナムと重なってゆきます。
ある晴れた日、わずか4時間の間に消滅してしまったミライ村の惨劇がタマシイの口を通して
語られます。その残酷なまでの描写に込められた作者の思いが伝わってくるシーンです。

世間が自分に与えたイメージを演じているだけと豪語するノブナガに向かってタマシイは
言い放ちます。

若さは単純 単純は愚鈍 愚鈍は鈍感
なかったことをあったことに あったことをなかったことにはできはしない
人は力を使った後に無力という力に気づく
私は無力という力について実況するためにリングの下で暮らしてきたの
私のミライは滅んだけれどあなたの未来はまだ滅んではいない

殺戮の場から逃げ出したアメリカ兵がタマシイの父親であり、彼は逃げる途中に瀕死の女性
から産み落としたばかりの子供を託されたのでした。
すなわちタマシイは未来でもありました。

姿を消したタマシイに語りかけるノブナガの姿。
かすかな光を感じさせるようなラストでした。


最初と最後にギルバート・オサリバンの「アローン・アゲイン」が使われています。
ベトナム戦争の頃にリリースされた懐かしい曲でもあります。

 It seems to me that there are more hearts
  Broken in the world that can't be mended
  Left unattended
  What do we do?  What do we do?
  Alone again, naturally


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