「returns」~さよならシアタートップス [観劇]
新宿のシアタートップスが3月末で閉館になることを知ったのは今年の初めでした。
150人規模の小さな劇場だけれど同規模の下北沢のものとはまた雰囲気の違う、おしゃれで大人っぽい
感じの劇場。東京にはこういう劇場があるんだ、と田舎者は感動したものでした。
初めて観た作品は2003年の泪銀「3つの事情 男版・女版」だったでしょうか。
その後も何度か足を運びましたが舞台に対して奥行きのある客席は適度な傾斜がついてとても見やすくて
好きでした。
そんなシアタートップスの閉館を惜しんで「さよならシアタートップス最後の文化祭」が3/18から3/29
にわたって開かれるとのこと。 その中で休眠中の「東京サンシャインボーイズ」の公演が行われると
いうではありませんか。
運よく抽選でチケットが当たり、午後9時半からの1時間半公演のためだけに東京に行ってきました。
東京サンシャインボーイズ 『returns』
作・演出:三谷幸喜
出演:相島一之 阿南健治 伊藤俊人 小原雅人 梶原善 甲本雅裕 小林隆 近藤芳正
斉藤清子 谷川清美(演劇集団円) 西田薫 西村雅彦 野仲イサオ 宮地雅子 吉田羊
戸田恵子(声の出演) 山寺宏一(声の出演)
演出補:福島三郎
小学校の恩師からの手紙で召集された12人の男女。
彼らの前に現れた恩師の娘の話によると、恩師は退職後宇宙科学の研究にたずさわっていて、
3日後に宇宙人が攻めてくることがわかった。
1961年生まれの彼らには秘められた力があり、宇宙人から地球を救うためにはその力が必要だという。
突然そんなことを言われても自分達に特別な力があるとは思えない。
でもとにかくそれぞれの秘められた能力をみんなで探し出してみよう。
抜群の記憶力、動物と話せる、絶対にジャンケンに負けない、2分息を止めることができる、空を飛べる、
絶縁体質、テレポーテーション…と出てくる出てくる怪しげな能力。
しかしこんなものが本当に役に立つのか?
結局精神に異常をきたした恩師の妄想だったということで落ちついたけれど…実は…?
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とまぁほとんど学芸会のノリで話が進み、演じる側も観る側も充分に楽しんで終わりました。
「蜉蝣峠」出演中の善ちゃんは恩師役でビデオ出演、そして伊藤俊人は一週間前に交通事故死した
和田(王様のレストランと同じ役名!)役で声の出演。骨壷の中から返事をする不死身の男。
メンバー全員が参加といううれしい形になっています。
三谷作品で久しぶりに見る西村雅彦はほとんど今泉状態で懐かしさ満点。
居酒屋「大自然」が出てきたり、終盤は予告編という形で宇宙人との戦いが繰り広げられ、「隊長
奴らの弱点は…(ガクッと倒れる)」と赤い洗面器のようなフレーズがあったりとニンマリする部分も
適度に用意されていて楽しめました。
そして最後に「ただ今より15年の休憩に入ります」という戸田恵子のアナウンス。
わたしが頻繁に劇場に足を運ぶようになったのは「オケピ!」初演以降なので、すでにサンシャイン
ボーイズは休止期間に入っていて彼らの舞台は生で観たことがありません。
当時から復活は30年後の「リア玉」と言われていましたが、伊藤俊人が亡くなってしまったし、もう
復活はありえないかもと思っていました。
今回復活公演が実現したのはとてもうれしかったです。
それだけ三谷さんの中でもシアタートップスへの思い入れがあったということでしょうか。
『今後の予定 「リア玉」 2024年/シアターニュートップスにて上演
だそうです。