2009 年末観劇メモ [観劇]
「フロスト/ニクソン」 「海をゆく者」
なぜか毎年秋から冬にかけて観たい演目が増えるのは私だけでしょうか。
そして2009年のこの時期は男だけの芝居が重なりました。
( 11月のコクーン「十二人の怒れる男」も大人の男たちの芝居でした)
11月に東京公演が行われた「フロスト/ニクソン」そして「海をゆく者」
2作とも名古屋公演があったので無理せずゆっくりと観ることができました。
(仕方がないとはいえ、やはり上京して一日に複数の観劇というのは余韻を楽しむ間が
なくていけません)
◆「フロスト/ニクソン」
仲村トオルというだけでチケットを取ってしまった作品です^^;
直前に映画版を見て予習して臨んだのですが、この映画版が思いのほか面白かった。
ニクソンに北大路欣也、引退後のニクソンを追い詰める若手ジャーナリストに仲村トオル。
ニクソンの側近に谷田歩、他佐藤アツヒロ、中山祐一朗、中村まこと、安原義人。
演出は鈴木勝秀。
シンプルなセットを補う照明の使い方が印象的でした。
膨大なせりふを出演者たちは頑張っていたと思いますが、終盤近くのニクソンへの反撃
の手掛かりを見つけ出すあたりの描き方が映画に比べるとやや淡泊だったかな。
◆「海をゆく者」
こちらもアイルランドのコナー・マクファーソン原作の翻訳物。
小日向文世、吉田鋼太郎、浅野和之、大谷亮介、平田満
演出は栗山民也
アイルランドの海沿いの町に住む中年男の兄弟とその友人たちのクリスマスイブの朝
から翌日にかけての出来事なのですが、とにかく男たちは朝からものすごく散らかった
部屋の中でただただ飲んだくれて怒鳴り合い、カードをしているだけ。
最近目が見えなくなったという兄(吉田)は着替えもせず風呂にも入らず、いやな臭気を
辺りに漂わせているというものすごい状態で弟(平田)がその世話をするために戻って
同居を始めたばかり。
そして友人の一人が連れてきた謎の男がゲームに加わることで今まで見えていなかった
兄弟の関係や弟の過去が明らかになってくる…
加齢臭が客席まで届きそうな中年男たちの怒鳴りあいに最初の方こそ多少の違和感を
覚えたものの、次第に引き込まれ3時間がアッという間に過ぎてしまいました。
美術は松井るみ
上記の2作品が上演された「名鉄ホール」は名鉄百貨店の10階にあります。
4階には「キハチカフェ」が入っていて、観劇の前後にちょっとお茶するのに便利です。
写真は「小倉あんトースト」 名古屋店限定のメニューなのだとか。
喫茶店で見かけるものとは全く違うキハチ版小倉あんトースト。どうです、この迫力。
注文時に10分くらいかかる旨説明があります。
トーストの後で荒熱を取る時間が必要だからなのです。
山盛りのつぶあんの下に見える白いものは生クリームではなくマスカルポーネチーズ。
あんこの量に比して重い感じがしなのはチーズだからでしょう。あんこも甘さは控えて
あります。 つぶあんの上にはミントの葉と抹茶。
サクサクのパンにチーズの酸味、つぶあんとミント…飽きずに食べられます。
見た目はB級っぽいけれど味は決してB級ではありません。
ナイフとフォークがついてきますが、手に持って食べた方が絶対おいしい^^
一人で全部食べることも可能ですが、半分くらいがお腹にはちょうどよいかもしれません。
◆「マレーヒルの幻影」
岩松了の新作。 麻生久美子、ARATA、松重豊、市川実和子、荒川良々、三宅弘城
というキャストにひかれてチケット取り。
チラシもすてきだったし。
1920年代末、大恐慌の頃のアメリカで暮らす日本人たちの物語。
休憩を挟んで3時間の長丁場。 前半ですでに後悔するも最前列のセンターで居眠りも
できず、ひたすら我慢を続けました。
最後まで何だったのかわからないままでした。こんなに長くする必要あるのかしら。
わざわざ本多劇場まで行くことなかったなぁ。
◆「東京月光魔曲」
「モダン都市東京を舞台に谷崎潤一郎氏も思わず平伏す倒錯的なエロティシズム~」
昭和初期三部作の第一弾、とチラシにはうたわれています。
昭和4年の年末から5年にかけて、東京に暮らす姉弟と彼らの周囲で起きる事件が
豪華かつ多彩な出演者で描かれます。
作・演出はケラリーノ・サンドロヴィッチ シアターコクーンにて。
松雪泰子と瑛太の姉弟を中心にケラ作品には常連の山崎一。
伊藤蘭、橋本さとし、大鷹明良、ユースケ・サンタマリア、長谷川朝晴、大倉孝二、
犬山イヌコなどなど。
どこか普通ではない関係をうかがわせる姉弟、姉の周囲の男たちが次々に不審な死を
遂げ、それを調べる探偵と助手。売れない小説家、戦争の影をひきずる男、謎だらけの
旧家の夫人、田舎から出てきて旧家に住み込む兄弟、レビューの元締め。
昭和モダニズムといえばよいのか、退廃的で妖しげな雰囲気の中で話は進んでゆくの
ですが最後が少しまとまりなく終わった印象でした。
夏の牡丹燈籠では動きやせりふがいまひとつだと感じた瑛太ですが、今回は洋服だった
せいもあるのかずいぶん自然に感じました。
そして大倉孝二と犬山イヌコ! 笑い担当しっかりという感じ。笑えました、本当に。
ユースケ&長谷川朝晴の使い方がもったいないし、最後もすっきりしない終わり方
だったのが気になります。
もしかすると二部、三部に続いて行くのか…? どうなんでしょうね。
お昼は「チクテカフェ」でマフィンとスープのセットを。
スープとはいうもののマッシュルーム・カリフラワー・ジャガイモ・ブロッコリーが入って
いてシチューに近い感じです。見た目よりもボリュームたっぷり。
マフィンはライ麦入黒にしました。
パリッとした焼き加減のマフィンにはちみつとバターをたっぷり。熱々で最高です。
この日の本多はハズレだったけど自宅用のマフィンも買えたので良しとしましょう。