さくらもち(こまき) [和菓子(関東)]
北鎌倉に来たのは久しぶりです。
駅のすぐ脇にひっそりとたたずむ和菓子の「こまき」
小町通りでよく見かける派手な和菓子屋さんとは対照的な素っ気無いくらいの店構えがかえって
北鎌倉の風景にはとても似合うとよそ者の私には思えます。
こちらでは一度に作る和菓子は一種類だけです。
今は「さくらもち」ですが、今年はこの日(3月2日)までだというお話でした。
持ち帰って箱を開けると、桜葉の香りがふわっと立ちました。
あんを丸く巻くのではなく、四角に包み込んだ独特の形をしています。この形にまず驚き。
四角にカットした二枚の桜葉ではさんであるのもめずらしいですね。
横から うっすらとあんが透けて見えてとても美しい。
桜葉を一枚はがした下側の包み目部分
瑞々しくそしてとても細かいこしあんです。
関西育ちの私にとって、さくらもちと言えば道明寺製があたりまえだったので、関東に来て
クレープのようなさくらもちを見たときは驚きました。今でもあの皮には慣れることができません。
そんな私にとってこまきのさくらもちはちょっとしたショックでした。
皮は葛でも使われているかのようにしっとりと柔らかく、つやがあります。葉も薄く柔らかいもので
一緒に食べることを前提に作られているのだと思いました。
四角に切りそろえてあるのもあん・皮・葉のバランスを計算してのことでしょうか。
「ん?・・・ん?!・・・お!」
こまきの和菓子は上手く表現できないのですが、「わかりやすいおいしさ」というのとは少し違う
ような気がします。パクパク食べてしまうと気づかずに終わってしまうかもしれない繊細さ。
どんな材料をどういうふうに使っておられるのかなどという難しいことは何もわからないけれど、
姿も味もすっきりとしたお菓子だと思います。