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坂を歩く [街歩き・旅(関東)]


          

一ヶ月ぶりの東京、さてどこを歩きましょうか。
うさぎやのどら焼きが食べたいばかりにホテルは上野界隈に決めました。朝一番で焼きたてほかほかの
どら焼きを買い込み、まず目的の一つは完了。
歩くだけでは寂しいので、ここから近くて好きな甘味もあるところと根津・千駄木辺りに行ってみることにしました。
梅雨とはいえ今年の東京は雨が少ないらしく、この日も天気予報では雨だったのにいざ歩き始めると時折照り
つける日差しと肌にまとわりつくような湿気。

 

 

          

千代田線の千駄木駅からスタート。傾斜の厳しい団子坂を登って「鴎外記念本郷図書館」へ。
鴎外が住まいしていた「観潮楼」を利用した建物です。
そんなに混んでいないだろうし、暑い時期でもあるのでここで少しゆっくりするつもりでした。
ところが間の悪いことにこの日まで3日間は展示替えのため休館という貼紙が。こうなったら歩くしかありません。

 

 

          

建物の前には鴎外にちなんで「舞姫」の像が建てられています。この通りは「薮下通り」または「汐見坂」とも
呼ばれる有名な通りだとか(説明板が立っています) 

 

 

          
          通りの左側 千駄木駅方面を臨む  

 

 

          
          右側にはさらに上方へと続く階段が 

鴎外図書館でゆっくりするつもりだったため、ごく簡単な地図しか持ってきていません。
こうなったら行き当たりばったりに歩くしかないと決め、もう宝探しのような心境に。ちょっとわくわくしてきます。

 

 

               

ところどころに説明板が立っているのでそれを読みつつ歩きます。しばらく行くとまた急な下り坂。
人にもあまり出会いません。下りきったところには小さな小さな自然公園があり「千駄木ふれあいの森」と
入口に書いてあります。昔の自然のままに近い状態を維持しているようです。人気がなくうっそうとしている
ので中に入るのはちょっとためらわれ、パス。

 

 

              

日本医大病院の横に「文学散歩道」と書かれているのを見つけて坂を上がってみます。
上がりきったところは夏目漱石の旧居跡。現在は大学の同窓会館になっているようですが○印の中に
塀の上を歩く猫のオブジェが見えます。
ここで「我輩は猫である」「倫敦塔」「草枕」などの作品が生まれ、漱石の前には鴎外もこの家に住んでいた
そうです。近代的なビルが建ってしまっているので当時をしのばせるものは何も残っていないようですね。

 

 

 

          

病院の玄関前におそばやさんを見つけました。「夢境庵」とあります。じっとりとした暑さにバテそうになり
とにかく入ってみることに。 12時には少し時間があったので待たずに座ることができほっとひといき。
このお店はお茶代わりにテーブルの上にそば湯が置かれているのがおもしろいです。(本音をいえばこれほど
暑いと冷たいものが一杯ほしかった)
おそばのつゆは私には少し辛口でしたが、おそばはおいしいです。

 

 

 

          

元気をとりもどして再び歩きます。
根津神社の裏を回り込んだところから東大の建物を右に見ながら新坂を下ります。
ここは別名「S字坂」とも呼ばれていて鴎外が名づけたそうです。

 

 

          

根津神社におまいり。ちょうど「茅(ち)の輪くぐり」の時期で大きな輪が用意されていました。
茅の輪くぐりとはお正月から半年の間の穢れを払う神事で、お参りする時にこの輪を左回り、右回り、さらに
左回りと3回くぐってからお参りするとよいとか。 

 

 

               

このおめでたそうな階段、実は「おばけ階段」と呼ばれています。下から数えると40段、上から数えると39段
という不思議な階段なんだとか(よく見れば理由はわかるんですけどね)
なんでも昔は人通りも少ない場所で暗くなったらおばけが出そうな場所ではあったようです。
左の新しい階段は最近作られたようですが、隣に建っているマンションと関係があるのかもしれません。
右側は草ぼうぼうの空き地なのですが近々工事でも始まるのでしょうか、こんなににぎにぎしく幕が張られて
いるんじゃおばけも出たくても出れないってもんでしょう。
写真をとっている背中側でもマンション建設の真っ最中。これならさっきまで歩いていた場所のほうがよほど
「出そう」な雰囲気だったかも。

 

 

          
          おばけ階段を上からながめる

 

 

 

 

          

おばけ階段から道なりに進み農学部の横を曲がると「異人坂」に出ます。明治時代この坂の上には
東大に雇われていた外国人教師の官舎があったことからこう呼ばれたそうです。この坂を下りきった場所には
かつて高林レンズ工業が建てられ、日本のレンズ工業発祥の地と言われているそうです。

 

 

          
        坂の起点(終点?)には「昭和六年」と「浅野公爵家建設」の文字が見えます。

 

 

 

  

          

不忍通りを渡り、蛇道を目指します。
途中に見つけたこのお店。あまりにもインパクトが強くてカメラを向けずにはいられませんでした(@_@)
「あんぱちや」という名前もさることながら、置いてあるものもかなり個性的。
日用品全般を扱っているお店のようですが、入ってじっくり見ればよかったなぁ・・・ちょっとばかり後悔です。
こういうお店に出会うのは街歩きの楽しみのひとつです。

 

 

 

 

          

不忍通りとほぼ平行に走っている道の一部がくねくねと蛇のようになっているので「へびみち」と呼ばれている
そうです。道路標識にも書いてあるくらいのくねくね具合…?!

 

 

          

ここはまっすぐに見えますがたまたまです…(汗) 本当にクネクネというよりジグザグしています。
そして写真でわかるでしょうか、この道を挟んで左が台東区谷中、右が文京区千駄木になります。

 

 

     

 

 

 

               
               周囲はまだ下町の風情が色濃く残っています。

 

 

 

          

よみせ通りに入ったあたりでしょうか、指人形の文字を見つけました。
ご自由におはいりくださいと書かれているので思い切って中をみせていただきました。後で聞いたところでは
ここはテレビなどでも紹介されて結構有名なんだそうです。

 

          
          モデルそっくりにできているだけでなく、全部指人形だというのも驚きです

 

 

          
          タイトルは「プロポーズ」  表情がよいではありませんか

 

 

 

               

日暮里駅に近いところに幸田露伴の住居跡がありました。改めて文学散歩をしてみたらおもしろいかも
しれません。本郷の方へ行けば樋口一葉の家なども残っているようですし。

 

 

          
          夕焼けだんだん  

佃煮の中野屋あたりで友人とおちあい、谷中銀座を通って地下鉄駅まで歩く。
ようやくこの頃から雨が降り始めました。
この日のメインは夕方からの東京フォーラムでのコンサートなのですが、何だか街歩きの方が印象に残る一日
だったかもしれません。


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