SSブログ

二人の約束 [観劇]

 
『二人の約束』 Parco Produce


             b8301.JPG


  作・演出:福島三郎
  キャスト:中井貴一(小太郎) 段田安則(大垣) りょう(めぐみ)
  大阪公演 2008年3月1日・2日  イオン化粧品シアターBRAVA!

 

中井貴一と段田安則の「劇団ふたり」の第一作は「二人の噺」 
当時パルコで公演された時は関西居住で観に行けず、後に大阪で再演された時には逆に東京居住でまたまた観ること
できず…と、もう縁がないものかと半ばあきらめていたところにとびこんできた「劇団ふたり」公演のニュース。
最初は大阪公演の情報だけだったので今度こそ乗り遅れまい早々とチケットを確保したら、なんとその後にパルコでも
公演があることが判明。しまったと思ったけれど、大阪公演を選んだおかげでミク友と一緒に観れるといううれしいことに。

         *******
 

小太郎(中井)は古美術商の看板を掲げてはいるものの、扱っているものはヘソの緒にしか見えないドラゴンの
尻尾を筆頭に独眼流政宗の目玉などとなにやら怪しげな品物ばかり。
しかし店にある品物の由来をハイテンションで話し続けるその様子からは物への愛情が感じられ、人なつこさを
絵に描いたような好人物。
幼馴染のめぐみ(りょう)の父の所有である借家で店を開いているが、この店は現在立ち退きを迫られている。

ある日塀の上から小太郎の家を覗いていた男が足を踏み外して落下、気を失っているところを発見される。
人のよい小太郎は男を家に運び入れて介抱し、面倒を見ることにする。
大垣と名乗るどことなく怪しげな男は記憶をなくしているらしいが、挙動不審なその様子から地上げ屋ではないか
と疑うめぐみの言葉にも耳をかさず、彼の記憶を取り戻すために親身になる小太郎。

40になる今になるまで小太郎が独身でいた訳は裏庭の木の根元にあった。
むかし幼馴染の順子ちゃんと一緒に埋めたタイムカプセルを30年後に二人で掘り出す約束をしていたのだ。
そしてその約束の日はもうすぐそこに迫っている。
もしも家と木がなくなれば順子ちゃんが困る。だからその日まではなんとしても立ち退くわけにはいかない。

本当のところ順子ちゃんが来てくれるかどうかはわからない。
でも相手にも守ってほしいからまず自分が約束を守る。そうめぐみに話す小太郎。

大垣に対してもその信条は変わらず、彼は自分の財布を丸ごと大垣に貸してしまう。
その財布を失くした大垣に、めぐみの不信感はさらにつのる。

そんな時、塀の陰から大垣のものらしいかばんが見つかり、そこからめぐみは真相へのてがかりを掴む。

 タカクワアキコという女性から小太郎に宛てたハガキ、かばんに入っていた順子とおぼしき女性の写真。
そしてめぐみが作る「おやつやき」という順子直伝のの食べ物のことを大垣が知っていたこと。

「いい人は目を見ればわかる。悪い人なんていない。寂しい可哀想な人がいるだけだ。
相手を思いやりその人を大切にすればいいんだ。ダメだったらあきらめる。人は無力なんだ。
うまくいかなくても自分が相手を裏切らなかったという事実はいつか自分に還ってくるものだ。」
という小太郎に対して
「お兄ちゃんは信用しているふりをして実は信用していないんじゃないの!?」と反論するめぐみ。
彼女は仕事で信じていた人に裏切られたばかりだった。
めぐみに反論せず、かばんをそっと手でぬぐう小太郎のしぐさに哀しさがにじむ。

いよいよ約束の日。
周囲では工事が始まり、立ち退きも目前に迫っている。

すっかり元気をなくした小太郎の前に大垣が現れる。
実は彼は順子の夫であり、約束の日を前に亡くなった妻の代わりに約束を果たそうとしていたのだ。
小太郎の様子を調べているうちに転落、頭を打って記憶をなくしてしまっていたらしい。

自分を無条件で信じてくれた小太郎の気持ちに応えたい、その一心で戻ってきた大垣。

中年男二人が掘り出したタイムカプセルには確かに品物だけではない何かが詰まっていた。
「約束を守ってくれてありがとう」という順子の声は二人だけでなく、めぐみにも確かに届いたようだ。
それは決して宝物「マチュピチュの金のカエル」の力ではなかったと思いたい。

 
 

段田安則は何をやっても期待を裏切らないが、今回も48歳(?)のちょっと疲れた男を演じてとてもよい。
いつ見てもうまい役者さんだと思う。

中井貴一は「バナナの好きな人」の時にも感じたが、シリアスな顔とは裏腹にコメディの似合う人だと思う。
きっと自身もこういうのが好きなのではないだろうか。
もっと舞台もやってほしいし、最近の広範囲な活動から10年先、20年先が楽しみ。

りょうは初舞台とのことで硬いという評判を聞いていたのでさほど期待しないで観たけれど、小太郎への
まっすぐな想いをなかなかうまく表現していたのではないか。
福島三郎作品なのできっと後味は悪くないだろうな、という期待通りの作品で気持ちよく劇場を後にした。

スコップ的something…ちょっとツボ^^
 
nice!(2) 
共通テーマ:日記・雑感

nice! 2

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。