SSブログ

「神様とその他の変種」 [観劇]


          b5917.JPG
    
    NYLON100℃ 33rd SESSION 
              『神様とその他の変種』

    作・演出:ケラリーノ・サンドロビッチ
    出演:犬山イヌコ みのすけ 峯村リエ 大倉孝二 廣川三憲 長田奈麻 藤田秀世 植木夏十
        水野美紀 山内圭哉 山崎一
    2009年4月17日(金)~5月17日(日)  下北沢本多劇場


    今回は初の名古屋公演も行われるのだけれど、やっぱりナイロンは本多で観たい。
    ということで遠征決行(翌日パルコの「R2C2」のチケットも取っていたので)


    このタイトルは「ケラ&ザ・シンセサイザーズ」の同名の曲からつけられたものだという(チラシより)

    冒頭「神様です」と舞台上に現れるのはどう見てもホームレス、実にうさんくさい神様。

    

    動物園の前に建つ三階建ての一軒家。3階の部屋には11歳のケンタロウ。
    いじめにあっているらしい彼は学校にはあまり行かず自室から見えるゾウのカンコとマルが友だち
    である。彼はゾウと話しができるらしい。

    病的なまでにケンタロウを溺愛する母。家族に秘密を持っているらしい父。
    新しい家庭教師のサクライはなぜか過去の記憶をなくしている。
    ほとんどケンタロウ家に住みついているかのような動物園の飼育係のユウちゃん。
    最近処方された薬のせいで体調をくずしているケンタロウの祖母。

    ケンタロウにケガをさせられたと同級生鈴木サチオの両親が抗議にやってくるが
    そもそもはサチオのケンタロウへのいじめから始まったものだということがわかる。
    そしてサクライを見て驚くサチオの父。二人はかつて不倫関係にあったらしい。
    

    「動物界で唯一人間だけが生まれてくる時泣き声をあげる。
     人間には構造上の欠陥がある。幸せになれない、そう作られているんだ」

    祖母の言葉が象徴的に響く。
    

    やがてケンタロウの担任、以前の家庭教師、隣の主婦がケンタロウの家を訪れた後に次々と
    消息をたっていることがわかる。
    しかも彼らはみなケンタロウの母が黄色いマグカップで用意した紅茶を飲んでいた。
    母が彼らを殺したのか…?
    
    そして理想的な一家に見えていた鈴木家にも不幸はあった。
    サクライの教師時代に起きた児童の事件とそれが引き金になって起きた記憶喪失。
    妻の心を守るためにとケンタロウの父が行っていたこと。
    次々と明らかになる真実の中、動物園に異変が起き、そして祖母が死ぬ。

    
    それぞれが自分の大切な人を思いやっているようで、実はだれも互いにきちんと向かい
    合おうとしていなかったのだ。
    
    人は罪を悔いるだけでは救われないのか。
    罰を受けなければ救われたと感じることができないのだろうか。

    
    ラスト、部屋の中に降る雨が再生への希望を表しているように思えてならなかった。
   
    そして狂言回しのような神様が実はホームレスの下着泥棒だったというところにケラ
    らしさを感じたのは私だけだろうか。
    

    客演陣も違和感なくナイロンの世界に溶け込んでいるように感じた。
    言葉で説明せずに擬音ですませる山内圭哉(当然あて書きだろうけれど)
    重い話の中でもコメディのセンスを感じさせてくれる水野美紀。
    山崎一は言うまでもなく。
    
   

nice!(3) 
共通テーマ:日記・雑感

nice! 3

高輪おさんぽももちどり ブログトップ

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。