岩科学校 [建物]
そして松崎町にはもうひとつ魅力的な建物がありました。
「岩科学校」
明治13年に完成した伊豆地方最古の小学校です。
先日訪れた松本の旧開智学校と共に重要文化財の指定を受けていて、両施設は現在姉妹館提携
をしています。
正面のバルコニーが洋風ではありますが、なまこ壁や屋根の形など旧開智学校と比べると
和風色の濃い建物です。
「岩科学校」の文字は当時の太政大臣三条実美の手になるもの、その上にある龍は長八
の作品であると言われています。
生徒昇降口を入ったところの廊下。
建具は障子で内部は完ぺきな和風の造りです。
私の出た小学校も木造で障子こそなかったもののこれに近い雰囲気でした。懐かしい。
二階には客室として作られ、裁縫の授業にも使用されていたという和室があります。
欄間部分には長八が描いた鶴がぐるりと室内を一周するような形で大空にはばたいています。
よく見ると一羽ずつ形も動きも違うという相変わらずの緻密さです。見ていて飽きません。
写真にはないのですが、床の間は昇る太陽を表す紅い壁、脇床の緑は松を意味するそうです。
床の間には長八作の漆喰製の壺と鶴もありました。
大理石を模したという壺はいわれなければ漆喰製だとは気付かないかもしれません。
築年数が経っているからでしょう、大人数で室内に入っての見学はご遠慮くださいとありました。
全国に残っている木造学校の写真が別室に飾られていて、その中に岡山県高梁市にある
吹屋小学校が現役最古の小学校であると紹介されていました。
帰宅してから2日後、吹屋小学校が来年度いっぱいで閉校になるとのニュースがテレビから
流れてきました。
普段なら何気なく聞き流してしまうのですが開智学校、岩科学校と訪れたばかりだったので
反応してしまいました。
老朽化など仕方のない要因があるのでしょうが、建物が修理・保存されるといいですね。
松崎町は映画「バーバー吉野」のロケ地でもありました。
床屋のおかみさんであるもたいまさこによって町の男の子たちは全員「吉野刈り」という
何ともユニークなヘアスタイルを甘受しなければならないというマイナーな映画であります^^;
田んぼに囲まれたのどかな町の風景が印象的でした。
実際に訪れてみるとその風景がそのまま残っています。
岩科学校の隣にある岩科小学校が映画の中で子供たちが通う小学校として使われていました。
残念なことにこの小学校も現在は閉校になっています。
そしてこれが「ときわ大橋」
なまこ壁の雰囲気をを取り入れためずらしい橋です。
作中ではケケおじさんがここで子供たちを追いかけていましたっけ。
松崎の銘産は桜葉だそうでそれを使った桜餅が町内の和菓子屋さんで作られています。
店によってお餅の材料が異なるそうで
左は「永楽堂」のもので米粉と餅粉を使ってなめらかな肌のお餅に仕上げてあります。
中は小豆のつぶあんです。
右は「梅月園」のもので上新粉を使っています。
丸い生地を二つ折りにしてこしあんを包んでいます。あんは小豆と手亡豆。
どちらも塩漬けした桜葉2枚で挟むように包んであります。
個人的には右の方が好みかな。