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ニコラス・マクファーソン [観劇]


          

『ニコラス・マクファーソン』
    
彼らは奴を守れるか+彼らは奴を殺せるか

作:後藤ひろひと  演出:竹下宏太郎
出演:小須田康人 みのすけ 三上市朗 六角慎司 平田敦子 アドゴニー 川下大洋
2006.8.16~8.22  紀伊國屋サザンシアター


********************
白翠館、葵の間。日本との国交成立の調印式出席のため来日したとある国賓ニコラス・
マクファーソン。しかし、国交成立に反対する組織により、調印式の場にて彼を暗殺する
との情報が! ニコラス・マクファーソンを暗殺の危機から守るべく迎賓館で夜通しボディ
ガードのリハーサルを行う二人の刑事。
一方迎賓館近くの倉庫に迎賓館内部と全く同じセットを作りニコラス・マクファーソン暗殺
の予行演習を行う殺し屋二人。
果たしてどちらの作戦が勝つのか?
                            ********** チラシより **********


Piper第二作として上演された作品の再演だそうですが、私はこれが初見です。
今回はいかにも竹下(SAL)演出らしく、ストーリーよりも役者の動きがまるでダンス
を見ているかのようで楽しめます。

殺し屋(川下&みのすけ)と刑事(小須田&三上)が作りは同じでも実際は別の場所に
ある二つの部屋でそれぞれ同時に「狙う・守る」のリハーサルを行っている。
映像のように瞬時に切り替えができないので、一つの部屋で二組の動きを重ねて見せ
る演出でそれを可能にしています。

二組が同じような発言・行動をするのですが、お互いのペア以外には見えていない
聞こえていないので観客は音声多重放送を観ているようなおもしろさがあります。

男性陣にからむ紅一点の平田敦子がとてもよい味を出していて、今回初めてかわいい
と感じました<(_ _)>  年齢相応の地の部分と若ぶった口調の媚媚キャラを瞬時に使い
分け、ここでも二重構造が楽しめます。 
 
味の違うトロピカルとメキシカン2種類のピザが誤って相手方に配達されたことがきっかけ
になり、殺し屋と刑事たちは白翠館で顔合わせ。敵を欺くにはまず味方からというわけで
殺し屋だとばかり思っていたのが実は… 
そして現れたニコラス・マクファーソンは…

ゲームに勝利したごほうびとしてみゆき(平田)の手におちた邦友(三上艦長)の運命
だけが気がかりです(~_~;)


わっと笑って終わってみれば「あぁおかしかった~☆」 堅苦しくなくて笑っておしまい。
大王の狙いもそんなところでしょうか…?

 

 

***余談***
カリカ家城(多分)と大王夫人の楠見薫サンを見かけました。

 
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南国プールの熱い砂 [観劇]


  

こどもの城 + ネルケプランニング プロデュース
     『南国プールの熱い砂』

作・演出:桑原裕子
出演:渋谷琴乃 小橋めぐみ 伊達暁 笹峯あい 小手伸也 宮下今日子 平沼紀久
    原扶貴子 成清正紀 川久保拓司 横山真二 吉田晋一 桑原裕子

2006年7月26日(水)~8月6日(日)  青山円形劇場



7時半開演と少々変則。伊達暁と吉田晋一の他は初めて観る役者さんばかり。
舞台は中央の円形部分に丸いプールと砂場、一段高い壁際にデッキチェア。
開演前から舞台上ではホテルのスタッフ役の川久保拓司が本日のプールの水温などを
マイクを通してアナウンス。 冬馬役の横山真二がプールサイドに寝そべったり雑誌を
眺めたり何やら落ち着かない様子でうろうろしている。
そして「Close to You」のメロディとともに幕が開く…

恩師の死をきっかけにかつて小学校の移動教室で訪れた海辺のリゾートホテルへの
同窓会旅行が企画され、集まったクラスメイトたち。
最初は15年の時間の流れからくるぎこちなさを感じながらも次第にかつての親密さを
とりもどしていく彼ら。

あの時は言えなかったこと、あの時は見えなかったこと、忘れまいと思ったのにいつの
間にか忘れてしまっていたこと、そしてあの時も今も変わらず抱いている想い…
大人になった今、それぞれがあの頃を思い出して心の中に眠っていたものを吐露し始め、
部外者のなりすましや身代わりなどの笑いもまじえつつ話が進む。

そして移動教室の夜の出来事、当時は誰も知らなかった秘密が明らかになる。

あの頃知らぬ間に傷つけていたこと、傷つけられたこと。
それは足下の焼けた砂のように今もチリチリとした痛みを伴って迫ってくる。
謝りたいこと。今言っておきたいこと。互いの思いが交錯し、時として激しい諍いになる。
15年前に思い描いていた自分とは少し違うけれど、それぞれがあの頃のまっすぐだった
自分を思い出し、そしてこれからはかつての仲間達と新たな関係を築いてゆけるかもし
れないと暗示させる。

彼らはこれからも数え切れない記憶を熱い砂の中に忘れて生きて行くのだろう。
でもそれらの記憶は決してなくなることはなく、折りにふれ何かの拍子にチクリと足を
刺すものなのかもしれない。

ラスト 向かい合った衣雲と仁美の間にさす一筋の光の中を上空からまっすぐに砂が
降ってくる。再び「Close to You」のメロディがそれに重なり暗転。

 

 

 

 

     * * * * * * * * * * * *

15年前の出来事に不自然さを感じてしまい、それが最後まで尾をひきました。
決して悪くはなかったんだけれど…


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開放弦 [観劇]

        

パルコ+リコモーションプレゼンツ  『開放弦』

作:倉持 裕
演出:G2   
音楽:渡辺香津美
出演:大倉孝二 水野美紀 京野ことみ 丸山智己 伊藤正之 犬山イヌコ 河原雅彦

2006年7月14日(金)~30日(日)   PARCO劇場


 

この作品はチラシの美しさにひかれて観たいと思っていました。倉持、G2、大倉孝二
とくればぜひとも! チケットが取れてほっとしました。
先週のコクーンと違い今日はC列センターブロックという非常に観やすい席でストレスなし。

倉持作品は「しかたがない穴」「スマイル・ザ・スマッシャー」以降のものしか観ていません。
何の説明も与えられず、セットとせりふから状況を手探りで理解していく…観る側に非常に
集中力を必要とするものがほとんどでした。
不思議な閉塞感のようなものに満ちていて、言葉ではうまく説明できない、皮膚感覚で味わう
ようなお芝居。でも何故かクセになる。わからないことだらけなのにまた観たくなる。

今回も少しばかり覚悟(?)して臨みました。が、案に相違 まっすぐなラブストーリーでした。
笑いも随所に織り込まれていて普通に観れました。
雰囲気の違いはペンギンプルペイルパイルズの役者さんが出ていないし、G2演出ということ
もあるのでしょう。

劇中で何度かテレビをつけるシーンがあるのですが、画面がモザイク処理されてる(~_~;)
競馬中継も馬の名前や実況もそれらしく作ってあっておもしろいです。松尾貴史がコメント
している番組が流れたような気がします。G2流のお遊びだったら楽しい。
大倉孝二を久しぶりに観ましたが、その存在感を充分に楽しみました。「鴨キ~ック!」
や原稿の座布団隠しなどの動きも完璧。いいわぁ☆



東京から2時間のとある田舎。
いかにも農家という感じの縁側のある座敷と庭。左後方には真白な雲が浮かんだ青い空。
今日は農業の傍ら活動しているバンドのギタリストである遠山の結婚式。
遠山のバンド仲間の門田と依代は不機嫌でいらだっている。新郎新婦にも幸せそうな様子
は見られずどこかよそよそしい。新婦の恵子は妊娠中。

遠山は莫大な借金を抱えており、村の有力者に借金を肩代わりしてもらう代わりに不倫相手
の恵子を押し付けられた挙句の結婚式。真相を知る門田は納得できない。
式の後の諍いから家を飛び出した遠山は通りで漫画家夫婦の車にはねられてしまう。

事故のせいで腕が動かなくなり、売れ始めたバンドの活動も続けられなくなった遠山への
償いとして住み込みで農作業を手伝い始めた漫画家夫婦。東京から彼らを追いかけてきた
編集者。 これらの人たちが遠山の家に集まり、どこかぎくしゃくとした日々が続いて行く。

友人として、夫婦として、男として、女として、7人の関係が微妙に変化してゆく様がゆっくり
と描かれる。7人各々が言葉として口にしたことではなく心の中に秘めている想いがあること
がしだいに明らかになってくる。

ぎこちなさを残しつつも少しずつ近づいていく遠山と恵子。
動かなくなった右手のかわりに恵子の右手が弦を鳴らして曲作りに協力するシーンがほほ
えましい。

「俺といるとこれからはいいことばかりが続くよ」と言う遠山の言葉。
けれども借金の原因となった赤いくちばしの鴨はやはり彼にとっては不幸をもたらすものだ
ったようで、遠山は2度目の事故で還らぬ人となってしまう。

葬儀の夜、偽装で始まった結婚ではあったが遠山と恵子は深いところで結びついていて
それは誰も知らなかった昔に始まっていたことが明らかになる。
遺された楽譜を見てギターを抱きしめながら弦を鳴らす恵子。
押さえるはずの左手の持ち主はもういない。
開放弦で流れる音が切なくひびいて目頭が熱くなった。

 

 

続きます


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あわれ彼女は娼婦 [観劇]


     

あわれ彼女は娼婦

作:ジョン・フォード 小田島勇志訳  演出:蜷川幸雄
出演:三上博史 深津絵里 谷原章介 石田太郎 
立石凉子 梅沢昌代 高橋洋 他

Bunkamura シアターコクーン


3月の先行で早々とチケットを確保したのに引き換えてみれば1階最後列 (;一_一)
(いくら劇場がそう広くないとはいえ最後列っていうのは先行としてはあんまりじゃないの)
コクーンに行くたびにかなり衝撃的なこのポスターがバァ~ンと貼られているのを
見て、毎回ドキッとしながらもキャストに惹かれて楽しみにしていました。

初めて愛した相手が兄であり妹であったことから始まる悲劇です。
他人は騙せても、自分を欺くことはできても神にすべてを隠しおおすことはできない。
罪をあがなうために最悪の結末へと向かう…そういう予想をしていたら少しばかり違い
ました。
近親相姦という罪を犯しているジョバンニとアナベラがもっとも強い非難をうける存在で
あるべきなのに、登場人物のほとんどが自分の欲望に流されたいいかげんな生き方を
しているのです。

娘の妊娠を知った父親は即座に別の男(ソランゾ)と結婚させて世間体を取り繕うと
するし、相手に選ばれたソランゾは社会的には問題がないものの、心からの愛情で
女性を愛することを知らず、あげくに長い間ずっと不倫のドロドロを引きずっている。
アナベラが自分に愛情を抱いていないことを承知の上で打算から結婚するが、次第に
お腹の子供の父親に嫉妬を覚え、真実を知った時ジョバンニを陥れようと画策する。

正義を遂行するべき枢機卿も堕落しているし、さまざまな人物の間に恨み・憎しみ・
復讐の負のベクトルが生じていて、そんな中にあってジョバンニとアナベラの愛情は
道徳の枠から外れたものであるのに、観る者に真っ直ぐに伝わってきます。

三上博史の苦悩する姿も、谷原章介のいかにも貴族ふうな様子もよかったのですが
やはり深津絵里が印象に残りました。
ジョバンニに愛を打ち明けられる前の清らかな様子。愛を確かめ合った後の幸せと
恥じらいの混ざった様子。ソランゾに身ごもっていることを知られた時の母親の顔。
そしてジョバンニの腕の中で死んでいく時の哀しみと幸せのないまぜになったさま。

凛とした声で後ろまできっちりとせりふが届きました。
白を基調にした衣装も品があってとても合っていたと思います。

中世風の石造りの建物のセットに無数の細くて赤いロープが下がっています。
運命の糸なのかそれとも禍々しい血の色を暗示するのか…
シンプルな建物を内からと外から、カーテンをうまく使って表現していました。
光の使い方も美しい。

冒頭、舞台中央に大きな馬が座っていたので、「わっ、ニナガワ!」と感じたのですが
それ以外は奇抜な演出もなく最後までふつ~に観れました。
(ご本人がPAの後ろにずっと座っていらっしゃいました。いつもそうなのかしら)


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熱海五郎一座 [観劇]


  

熱海五郎一座 楽曲争奪ミュージカル「静かなるドンチャン騒ぎ」

作:妹尾匡夫 構成・演出:三宅裕司
出演:三宅裕司 渡辺正行 ラサール石井 小倉久寛 春風亭昇太 東貴博 
    タカアンドトシ 辺見えみり 他
池袋サンシャイン劇場

伊東四朗一座の流れを受けて今年は熱海五郎一座と銘打っての公演。
三宅裕司が座長です。チラシに<東京喜劇伝承>と書いてあるように今回も軽演劇。

        

サンシャイン劇場のエレベーターを降りたところから入口までの空間にたくさんの幟が
たっています。本多劇場にはなかった試みです。相撲の興行みたいでちょっと楽しい。


パッと見渡しただけでも客席の平均年齢は相当高い。40ははるかに超えているんじゃない
かと思われます。伊東四朗一座の時もそうだったけど。

一応ミュージカルらしいのだけど「楽曲争奪ミュージカル」ということで、リハーサルの時点で
聞くに堪えないレベルと判断された人の歌はカットされているため、主に歌っているのは
辺見えみりくらい。ミュージカル嫌いでも全然無問題です
 (^^;

笑いを楽しむのが主なのでストーリーを細かく書いても仕方がないですが少しだけ。
女優としてミュージカルで活躍するエンジョウジアヤ(辺見)と佐倉組の組員カクタは婚約中。
アヤは由利組の組長の娘だが芸能界では秘密。
ひょんなことからカクタが由利組の組長殺しの濡れ衣をきせられたことから二つの組の抗争
が勃発。アヤは三代目組長を襲名して…
でいろいろありまして、結局は大団円を迎えてめでたしめでたしというお話。

お約束的なボケ突っ込みとまったりした笑い。テレビでよく見る笑いよりはゆっくりしています
がこれはこれで楽しい。出演者もリラックスムードありありで、せりふがカミカミでも忘れても
それも笑いにしてしまおう、みたいなノリで進んでいく。客席も暖かい雰囲気で。

劇中にアヤが出演する「オラの泉」の収録シーンがあり、これがめちゃめちゃおかしい。
ラサール扮する江○氏と渡辺正行扮する美○さんがそっくり。特に美○さんがもう何ともいえ
ないよい雰囲気で。笑わせてくれます。でもこんなことして大丈夫…? (;一_一)

由利組の初代組長として写真が飾られてたり「シロちゃん音頭」の一部が流されたりと
伊東四朗は出ていなくてもその存在感はしっかりです。
最後の挨拶の時に熱海五郎一座の命名の由来の説明があったのですが、「おぉ~!」という
声があちこちで上がるのを聞いて、客席の年齢層を改めて意識。
最後列に少し空きがあったのと補助席が少なめだったのは伊東さんが出ていないせい…?
なんてちらと思いました。
 


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黄昏にカウントコール [観劇]

    

風間杜夫アーカイブスシアターVol.1 「黄昏にカウントコール」
作・演出:長谷川康夫
出演:風間杜夫 麻生かほ里 今井あずさ 園山晴子 留守晃 真山章志 木村靖司
    小此木麻里 伊達暁
新宿 紀伊國屋ホール

何の予備知識もなく観劇。
去年も7月は「Last  Show」「大銀座落語祭」と風間杜夫だったっけ。

ダンススタジオの窓とレッスン用のバーのみのシンプルなセット。
始まりはごく普通の雰囲気で伊達暁のモノローグから。
続く30分は女性3人のダンスとハイテンションのおしゃべりの応酬。
このあたりでこちらのテンションがスッと下がってしまった。

寂れたダンススタジオで1人の男のために20年尽くしてきたという設定を見せなきゃ
ならないので必要なやりとりなのかもしれないけれど、テンポが…ダンスもなんだかなぁ…
客席からは結構笑いも起きていたけれど、自分の笑いのツボとは違っていたので笑えな
かったし。

伊達暁の冷静な息子とすべてにおいて熱い風間父とのやりとりの中にキラッと光るせりふ
もあるのだけど、登場人物の大半に共感を覚えることができなくて心に飛び込んではこな
かった。

どうも相性の良くない作品だったようで。

 


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アワ・ハウス~OUR HOUSE~ [観劇]

     

アワ・ハウス~OUR  HOUSE~

作:ティム・ファース 音楽:マッドネス 演出:G2
出演:中川晃教 池田有希子 池田成志 坂元健児 新納慎也 入絵加奈子 瀬戸カトリーヌ
    後藤ひろひと 香壽たつき 今井清隆 他
新国立劇場 中劇場

 

ロンドンの下町に住む貧しい少年ジョー・ケーシー
今日は彼の16歳の誕生日。サラとのデートを控えて大騒ぎ。16歳はもう大人だからそれなりの
準備をしなくちゃ。
ジョーの父さんは刑務所に服役した後行方不明。どうやらすでにこの世の人ではないらしい。
大好きな母さんは1人で一族の誇りである「アワ・ハウス」を守っている。

誕生日の夜、立ち入り禁止のビルに忍び込んだ為に警察に追われることになったジョーとサラ。
素直に捕まるか、あるいは逃げとおすか。
ジョーの中でよいジョー、悪いジョーがせめぎあう。
そんなジョーを父さんが見つめ、アドバイスするけれど幽霊となった今その声は彼に届くはずもない。
良いジョー(白いジョー)の生き方を選んだ場合と悪いジョー(黒いジョー)を選んだ場合
二つの人生が交互に語られ、時には交錯する。
白いジョーは刑務所に入れられサラともうまくゆかず、その後つらい人生を歩むことになる。
真っ直ぐな生き方をつらぬく彼はOUR HOUSEの建物は守れなかったけれど、本当に大切なもの
みんなの心のよりどころである母さんを助けることができた。
黒いジョーは若くして手段を選ばぬビジネスに手を染め、サラと結婚して成功したかに見えるが
結局は友人達の信頼もなくし、大切な母さんも失ってしまう。
どちらを選んでも人生はほんのささいなきっかけで思わぬ方へと転がるものだ。

結局彼が選ぶのはどちらでもないもう一つの道。その道がどこへつながってるのかは誰にも
わからないけど、彼が大切に思うものが何かははっきりしてる。だから大丈夫。
サラが言う「私って人を見る目はあるの」っていうのは当たってるかもね。



大王となるしーが出るというだけで衝動的にチケットを買ってしまった、苦手のミュージカル。
最初はやはり違和感が。歌詞は聞き取りにくいし、独特の雰囲気についてゆけず。
でも「おれたちって16歳じゃん?!」のスーパーサイヤ人の登場辺りからいつの間にかすんなり
入ってしまってた。ジョーを悪の道へと誘い込むリーシーの存在感充分。
若い人たちと一緒のダンスは大変だろうなぁ。
なるしー&大王が出てくると空気が一気にミュージカルじゃなくなるような…やっぱり濃いわ。
一方今井清隆は当然ながら堂々のミュージカル。この空気の対比もおもしろい。
中川晃教はSHIROHの時とは感じが違うようで最初出てきた時はわからなかった。
主役の顔くらいちゃんと覚えなきゃ (~_~;)

行く度に感じるけど新国立劇場はすごい。
あの広々とした階段を上がっていくにつれて日常から非日常へと少しずつ気持ちが切り替わって
行くようになっている。贅沢な空間だなぁと、普段ちっちゃい劇場にばかり行ってる身には思えるのよね。


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ヴァージニア・ウルフなんかこわくない? [観劇]

     

シス・カンパニー公演
「ヴァージニア・ウルフなんかこわくない?」

作:エドワード・オルビー    翻訳:徐 賀世子  演出:ケラリーノ・サンドロヴィッチ
出演:大竹しのぶ(マーサ)  段田安則(ジョージ) 稲垣吾郎(ニック) ともさかりえ(ハネー)
Bunkamuraシアターコクーン

劇場中央に居間のセット。客席(仮設椅子のSS席)との境は段差なし。この席の人は緊張
するだろうなぁ。通常の舞台部分も客席になっており、四方を観客が取り囲む形です。
野田MAPといい今回といい、コクーンは最近こういう形式が多いですね。
中央は盆になっていてゆっくり回転するのでさまざまな角度から眺めることができ、観客も
その場に参加しているような感覚を味わうことができます。

 

大学総長の娘マーサとその夫ジョージがマーサの父親主催の土曜日のパーティから帰宅
するところから始まる。深夜2時にもかかわらず、パーティーで知り合った若い生物学者の
ニックとハネー夫婦が招かれてやってくる。

初対面のニック夫婦の前でマーサはジョージの大学での出世が遅いことをはじめとして、口
を極めて夫を罵る。ゲームと称してそれを受けて立つジョージ。
二人の言い合いはすさまじく、ふっと息を抜けるような笑いがちりばめられていなければ、
つらくて観ていられない。舞台上にひりひりした空気が流れる。
4人ともお酒を飲みながらなのでいさかいは次第にエスカレート、ジョージがマーサにニックを
誘惑させるあたりに至ってはもう妻への憎悪だけなのか、はたまたその底に屈折した愛情が
流れているのか観ていてもわからなくなってくる。

ジョージ夫婦には明日21歳の誕生日を迎える息子がおり、どうやら息子が彼ら二人を結び
つける最後のよりどころになっているらしい。
二幕終わりに届いた電報が伏線となって夫婦の傷つけあいはさらに…

 

濃密な会話劇です。体調があまりよくなかったので一幕目は少しうとうとしてしまいましたが、
二幕目以降は引き込まれました。大竹しのぶは言うまでもありませんが、段田安則がすごい
と思いました。膨大なせりふをよどみなく繰り出し、時には狂気に満ちた表情を見せ、ラストの
救いを感じさせるシーンまで一気に魅せてくれました。 
三幕 休憩を含めて約3時間。ケラさんはやっぱり長かったです(^^)v

 

 

 

   

最近のチケットはどれも同じ用紙に必要事項だけが印刷されていてる味気ないものが
多いですがたまに劇団を通して買ったりするとオリジナルデザインのものが届くことが
あります。「ヴァージニア…」はたしかイープラスの先行だったと思うのですが居間がデ
ザインされたきれいなチケットでした。
チラシと一緒にファイル


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ダンダンブエノ トリデ  [観劇]

   

劇団ダンダンブエノGOGO公演「トリデ~砦~」

青山円形劇場   作:和久田理人&ダンダンブエノ  演出:山西惇
出演:永島敏行 坂井真紀 宮地正子 ぼくもとさきこ 酒井敏也 山西惇
    近藤芳正

昨年の「礎」から一年。倉持作品だった去年に比べるとわかりやすいです。
(1時間半のお芝居に交通機関の遅れで30分遅刻、ついて行けぬまま終わった)

1970年代の終わりあたりの千葉房総あたり(多分)
廃業した旅館「砦」に集まった20歳前後の7人の若者(設定はあくまで若者)。
地元で開かれる「ザ・サンフラワー祭り」のライブに向けて急遽結成されたバンド
の合宿。当然チームワークもバラバラ、練習もスムーズにはゆかない。

将来への不安、恋の悩み、すべてを置いて逃げ出したいようなやむにやまれぬ
気持ち…
二泊三日の合宿の間に次第次第ににそれぞれが自分の思いをぶつけるようになって
行きチームワークがよくなっていく様はまさに青春ドラマの王道。

アグネス・チャンやシカゴの「長い夜」などあの頃青春だった者にはなつかしいものが
たくさん出てきます。そういえば星の砂ブームになんてのもありましたっけ。
「3分待つのだぞ」のフレーズや「パンチDEデート」のご対面シーンの決まり言葉が
出てくるけれど客席の若い人たちのどれくらいが知っているのかしら。

空気は70年代なのですが、いかんせん男優陣はおじさんばかりなので、20歳前後
の若者を演じるにはかなり無理があるのが正直なところ。
テンポはまったり。でもそれが却ってあの時代を思い起こさせてくれる。

世紀末になってもノストラダムスの預言は現実のものとはならず、あれから20年。
みんなそれぞれに自分の人生を歩んでいる。
若い頃 たった三日間の出来事。心の中の大切な宝石のような三日間。
「山にん、君は今もあの砦の中の日々を覚えていますか」と最後にこんちゃんが
語りかけるシーンが印象に残っています。


酒井敏也&ぼくもとさきこの組み合わせは個人的にはツボでしたね。
二人だけのシーンでは不思議ワールドが舞台の上に広がっていました。
リコーダーやピアニカの入った「ポケットいっぱいの秘密」も楽しかったです。


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SHINKANSEN☆RS メタルマクベス [観劇]

         

松岡和子翻訳版「マクベス」より 脚色:宮藤官九郎
演出:いのうえひでのり
青山劇場

「吉原御免状」以来9ヶ月ぶりの新感線。4時間と聞いていたので覚悟していきました。
大好き!というほどのファンでもないけれど、それでも開演前の音楽が鳴り始めると自然に
ワクワクしてくるものですね。 
一部は少し冗長に感じました。お約束の少し引き気味の笑いがもう少し少ないほうが個人
的には好みです。そんなことを書きつつも、後ろのスクリーンに「轟天」がチラッと映ったのが
うれしかったりするので偉そうなことは言えないか…(^^;;

闘いに明け暮れる2206年のランダムスター達と1980年代に活躍したヘビメタバンド・メタル
マクベスの世界が交互に描かれ、やがて二つの世界が交錯してランダムスター(マクベス)
とその夫人は破滅へと突き進んで行きます。

戦場から城への帰途、ランダムスターとエクスプローラーは3人の魔女からやがてランダム
スターが王になるという預言を授けられ、80年代のバンド・メタルマクベスのCDを渡される。
そのCDに心を動かされたランダムスターは預言を現実のものにすべく妻と共に主君の暗殺
を企て実行する。
冒頭の魔女のシーンで右近健一演じる林魔女が一瞬松たか子(夫人)に入れ替わります。
後に夫をそそのかす夫人もまた魔女であったという暗示なのでしょうか。

「小さな者が大きなことをするのは大変だ」というランダムスターの言葉の通り、「マクベスは
眠りを殺した。マクベスは眠れない」 Scorpion heart never  sleep, Forever! 
と唄われます。
王を亡き者にして目的を遂げたはずなのに、心に闇を抱えた二人に平安が訪れることは二度
となく、疑念はさらに疑念を呼び人を信じられなくなった彼らは殺人を重ねてしまいます。
亡霊によって心を病んでゆくランダムスター(マクベス)のさまはまるで坂道を転げ落ちる石
のよう。

「女の股から生まれた男に俺を殺すことなどできはしない」と豪語したランダムスターも帝王
切開で生を受けたグレコの手にかかり命を落とします。「電気が足りない、俺の体にもっと
電気を…!」という言葉でまばゆいばかりの電気の中で息絶えてゆくランダムスターはまさ
にマクベス。


たまには豪華な舞台を観るのもいいものです。
上條恒彦の歌はすばらしかったです。北村有起哉のクールさもよかったし、一部では目だ
たなかった粟根まことも二部のパール王で出番が増えたしで万遍なく楽しめました。
松たか子のキレっぷりも堂に入っていました。
中でも一番よかったのは初めて生で観た森山未來です。ダンスは当たり前だけど歌もで
きるんですね。「明けない夜はSO LONG」の最後の演出は身体の軽さをうまく使っていて
よい感じでした。
主役の内野聖陽も堂々としていてよかったのですが、ヘビメタの衣装は正直ちょっと微妙
かなと思いました<(_ _)>  ちょっとお太りになった…?
ファンの方ごめんなさい。


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東おんなに京おんな [観劇]

トム・プロジェクトプロデュース
岡本麗×冨樫真 二人芝居
作:ひょうた  演出:田村孝裕
新宿 シアタートップス

 
   

元嫁と元姑という奇妙な関係の女二人のお話。
夫の浮気が原因で離婚して二ヶ月、まだ傷の癒えないリカのマンションに離婚を知らされて
いない元姑のみどりが京都から家出をしてくる。
息子夫婦の離婚に驚くものの、自分も浮気が原因で家をでてきて今さら行くところもないから
と半ば強引に居座り、女二人の奇妙な同居生活が始まる。

エアコンの設定やお酒の飲み方に嫁と姑のバトルの名残が伺えて笑いを誘う。
全く正反対の女二人の掛け合いがとてもおかしい。
京都と東京、柔と硬、外交的と内向的。
1人鬱々とした日々を送っていたリカの生活にいつの間にかずんずん入り込んできたみどり
は近所づきあいにも京都流を持ち込み、次第ににリカもそんなみどりに心を開いてゆく。
岡本麗という女優さんは本当にうまい。京都弁も頑張っていると思う。

少々の攻撃にはびくともせずああ言えばこう言う、京女というより浪速女も少なからず入った
みどりの人物像に重くなりがちなテーマが救われているように感じた。
「じゅんさいな」という表現がぴったり。

やがてみどりの家出のほんとうの理由があきらかになる。
嫁と姑という関係から解き放たれた二人が女として人としての本音をぶつけ合い少しずつ変
わって行こうとする終盤が観る者に心地よかった。


一幕1時間30分。


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横浜アリーナから2週間 [観劇]

しか経ってないのにさだまさし。

         

本日は町田市民ホールでのアコースティックコンサート。
小さいホールには巨大なモニターも大音量のスピーカーも必要ないのがほっとします。
ギター・ピアノ・マリンバにのせて歌声が直接心に沁みてくるよう。
物理的にステージと客席の距離が近いだけでなく、気持ちのキャッチボールができる
ような、なかなかよい雰囲気の3時間でした。

オープニングの「案山子」をはじめ、誰にでもわかりやすい曲中心の構成でしたが
ラストは「天然色の化石」に続いて「修二会」でドド~ンとしめくくり。
アンコールは「風に立つライオン」

トークの時間も結構長かったような(最近出た本の内容からのが多かったけれど)

今日もまたいろいろなことを考えながら聴きました。
CDだとそういうことはあまりないのだけれど、やはりステージ上から発せられるもの
に聴き手も自然と反応するからなのかと。曲を聴きながら自分と向かい合っているの
かもしれません。 
それが生(ライブ)の良さ、だからやめられないんだよなぁ。


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MYTH(ミス) [観劇]

  

青山円形劇場。
鈴木勝秀作・演出 佐藤アツヒロ 篠井英介 陰山泰 中山祐一朗

中央に円形の舞台。青と黒の模様が描かれ、黒い穴がひとつ。
ロッキングチェアと黒いスツール。
青い光の中、静かにゆれ始めるロッキングチェア 幕開き。 

ほとんど交渉のなかった父親の死によって遺産を相続することになった息子。
自分が生を受けたことに意味を見出せず、ただ1人の友人しか持たない孤独な
彼には父の残した家は何の価値も持たないが、建物を訪れた彼の前に幽霊と
なった父親が現れる。

「終わり」とも言える父の死から息子は初めて父親との関わりをスタートさせる。
生きることに意味を見出せず人との関わりを極力排して生きている息子に、父は
「繭の中から出よ」と訴える。自分の生は父、祖父と先の人たちからの流れの延長
にあるのだ、孤独に生きるなんてことはできないのだと。

やがて自らの意志で父を葬り去ることで彼は改めて自分の人生を始める。
抱き合い、息子に思いが伝わったことを確かめて静かにくずおれる篠井さんの表情
が印象的でした。

ロッキングチェアに膝を抱えてうずくまる息子の姿は繭の中に閉じこもったままの彼
の生き方を表しているように思えます。最後父の遺した物の中から絵と椅子だけを
選び、「これは僕が」とロッキングチェアを抱えて家の外へと向かう彼の姿に観る側
も安堵の気持ちを抱きました。


  『MYTH には神話、伝説、つくり話、架空の人という意味がある。
   人間は、生まれてきたからには、孤独ではない。』(チラシより)

人は人生で出会う数限りないMYTHを見極め、自分の生を実のあるものにする。
「人生はローンを返すようなもの。なぜって私たちは生まれた時にすでにすべてを
与えられているのですから(大意)」
弁護士のせりふが印象に残りました。

黒と白 光と陰 生者と死者(実体のない者)
シンプルな舞台装置を補うように照明がとても効果的に使われています。
1時間30分余りの上演時間でしたが、集中して観たためか短いとは感じませんで
した。 観終わった後もじわじわ効いてくる作品です。


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まさしんぐワールド30thコンサート [観劇]

  

横浜アリーナにて。
もともとはファンクラブ会員のための催しで昔はお芝居だのミュージカルだのを
やっていたのですが、ここ何年かはコンサートのみ。30回めというだけあって
当然年齢層は高い(x_x;  

今回は最初から最後までフルオーケストラとの競演。
渡辺俊幸氏の指揮で「北の国から」のオープニングの後ははNHKドラマ「ハル
とナツ」から。
オーケストラとの競演はこれが初めてではないけれど、やはり普段のコンサート
とはアレンジも異なり、よく知っているはずの曲も新鮮な気持ちで聴くことができ
ました。バンドのメンバーも今日は3人(石川・宅間・倉田の各氏)のみ。

ダンス付の「がんばらんば」のお披露目や元グレープの吉田正美氏との共演も。
歳月を経た二人の組み合わせもこれはこれでまた味のあるもので。
昨年秋の武道館の時に比べると吉田氏の固さも多少はとれていたような。

あまりコンサートでは歌わない「天然色の化石」のオーケストラバージョンもあり
ましたが、別の曲かと思うくらいソフトできれいな印象の曲になっていました。
こちらもなかなか素敵だけれども、個人的には胸がザワザワするような聴きなれ
たアレンジの方が好みかな… (いつから“God bless you!”のフレーズがなくな
ったのか気になっています。武道館のときはすでになかった)

ラストは修二会(これはやはり生が一番!)

アンコールは「まさしんぐワールドから生まれた曲」ということでなつかしい「RATS」
から「チャンス!」そして「主人公」
休憩なしの3時間10分。
これ、大阪フェスで聴けたら最高だろうなぁ…


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上方スピリッツ [観劇]

  

下北沢駅前劇場にて大阪の劇団「スクエア」の「上方スピリッツ」を。

関西の劇団なのに関西色が薄い「ヨーロッパ企画」に比べるとここは
もろに「大阪っ どやっ!」という感じがあかぬけないけど観るたびに
「頑張りや!」って応援したくなってしまいます。
前回の三鷹公演ほどではなかったけれど、今回も席は埋まっていま
せんでした。東京ではまだまだなのでしょうか…?
きちんと作られたコメディという感じがとても好感が持てると思ってい
るのですが。

10周年記念公演ということでメンバー4人だけの出演。
M1グランプリを目指す結成9年の「上方スピリッツ」という漫才コンビ
とマネージャー、構成作家のあれやこれやのお話。

出だしの漫才はちょっと空回り気味のところもあったけれど、だんだん
調子が出てきて2時間弱のネイティブ大阪弁の熱演に笑わせてもらい
ました。(個人的には「白髪とのコント」が気に入りました(^^;  )


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まとまったお金の唄 [観劇]

     

◆大人計画「まとまったお金の唄」  下北沢本多劇場

1970年 世の中が「おおちゃか万博」で浮かれていた年。それ以降の20年間
に蒼木一家に起こった物語。 
万博閉幕の日にスミレのお腹に宿った娘博子(平岩紙)の目を通して一家の
ことが語られていく。

万博開幕の前日、借金を残して失踪していた父親が太陽の塔の建設現場で
塔の上から落下して死んでしまう。 夫の借金を返しながら健気に生きてきた
熱心なクリスチャンの母のヒトエ(荒川良々)はこの事件をきっかけにすこしず
つ壊れて行く。

蒼木家の姉妹 ヒカル(阿部サダヲ)、スミレ(市川実和子)にも次々と不幸が
ふりかかる。下宿人の馬場ちゃん(宮藤官九郎)と恋人の蝶子(伊勢志摩)、
活動家の新宿(菅原永二)、金貸し親子(杉村蝉之介・近藤公園)、神木リュ
ウノスケ(内田滋)をも巻き込み不幸の連鎖が始まって行く

一つの嘘が次の嘘を呼ぶ。「まとまったお金」は何のために必要だったのか、
父が太陽の塔の内側に書き残した「もうこれ以上嘘はつけない」の意味は何
だったのかが次第に明らかになって行く。
近くに住みながら「おおちゃか万博」
からは遠く離れた生活を送る彼らにとって
太陽の塔が意味するものは…

荒川良々の母と阿部サダヲのヒカルがおかしくて切なくてとてもよかった。
こんなに不幸が次々とやってくるというのに、登場人物がみんな明るくてたく
ましくて、カラッとしているのが観る者にとっても救い。
今までに観た作品に比べると今回はやや毒が少ないか。

ダイナマン(松尾スズキ)は出たり入ったり、さまざまな役でおいしいとこ取り。
美術(松井るみ)はグレー基調の描き割りのようなセット。とてもありえないよう
な、非現実感満載の一家の話にピッタリの感じ。
70年代に流行した曲、ファッション、事件など当時をリアルタイムで経験した身
にはなつかしさいっぱい。大阪弁の不自然さはどうしても気になるけれど、本筋
とは関係ないので目をつぶることにしよう。
休憩無しで2時間20分程。帰り際急いでロビーに出たら物販コーナーに宮崎吐
夢さんが普通に立っていておかしかった。

録画した「医龍」を見るのは明日にしよう。


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ハルちゃん [観劇]


脚本:ラサール石井  演出:田村孝裕
出演:デビット伊東 松永玲子 八十田勇一 国分佐智子 他
会場:シアターVアカサカ

開演前の携帯アナウンスもなく、舞台上の法廷で廷吏の人が机を乾拭きしていたり
観客側も開廷を待っている傍聴人であるかのような錯覚に陥ってしまう。

法廷劇でありながらミステリーを観ているようでもある。
殺人未遂事件を裁く法廷。
風俗とファミレスの両方で働く若い女性(ハルちゃん)が知り合いの若い男に刺される。
彼女はそのショックで記憶をなくしたため、公判は主として被告の自白に基づいて進ん
でゆく。 

被害者は売春も厭わない、お金に汚い娘。刺されたのにはそれなりの理由があったと
いう雰囲気の中で裁判が進行する。簡単な事件かと思われたが、ファミレス店長の妻
の証言から事件が違った面を見せ始め、思いもかけぬ真相が明らかになる。

判決の後の裁判長の言葉が観る者の胸にしみる。
「物言わぬ人形を愛するように人を愛することはできません。相手への信頼がなければ
なりません。この法廷では愛情というものを大切に考えています。罪に問われることの
如何にかかわらずこれからどのように生きて行くか、その鍵はみなさんの心の中にあり
ます(大意)」

事件における立場は異なっていても、それぞれに問題を抱える人々のさまざまな愛の
形、人間の弱さが優しい視線で描かれ、そこに愛情を感じる。
終盤、それまで傍聴席の母親と目を合わそうとしなかった被告の青年が母の呼びかけ
に初めて視線を合わせてほほえむ。
この作品が「ハルちゃん」というタイトルである所以。

重いテーマを扱いながらも裁判官、証人などのせりふや動きにふっと力の抜けた演出
もされていて飽きずに最後まで一気に見せる工夫がされている。
地味だけれど心に沁みるとてもよい作品だと思う。
1時間45分。実際の裁判を傍聴し終えたような気持ちにさせられる。



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「鶴瓶噺」 [観劇]

 

少し日にちがたってしまったけれど 青山円形劇場「鶴瓶噺」に行ってきました。
(厳密には観『劇』ではないけれど)
去年もその前もチケットが取れなくてようやく3度目で実現。

 修行時代の6代目との話、学生時代の一筋縄ではいかぬ仲間達の話、落語の稽古に
利用している全国各地のサウナで出会った人たちの話、天満出身の弟子の話などなど。
日替わりでテーマが決まっているらしく、その日は「武勇伝」
普通の人なら見過ごしてしまうような、日々のちょっとした出来事をうまくすくいあげて
楽しい話にしてしまう、2時間あまりの鶴瓶ワールドを楽しみました。

 帰宅してからTVの「きらきらアフロ」を見る。
1人もおもしろかったけれど、この人は誰かとの掛け合いの方がさらにおもしろい。
そんな気がしました。

古典落語も機会があればぜひ聴いてみたい。


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